話数単位で選ぶ。 2011年、心に残ったアニメ10選

よく巡回しているアニメ感想サイト様で「話数単位で選ぶ、2011年TVアニメ10選」という企画があったので参加してみました。
前回の日記でアニメ作品10選企画はやりましたが、今度はエピソードの10選になります。
尚企画参加している人達の選出条件においては以下の通り。

・2011年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・思いつき順。順位は付けない。

というのを参考に自分なりに選定してみました。
尚、参加している人達の他の10選はこちらから飛べますので興味のある人はどうぞ。


ちはやふる第十一首 『あまつかぜ』

脚本:加藤綾子 絵コンテ:芦野芳晴 演出:渡邉こと乃 作画監督:金錦樹 総作画監督:濱田邦彦

リアルタイムで観ていなかった事が今でも悔やまれる作品です。この『ちはやふる』からは団体の全国大会に向けての大一番である東京都大会決勝のエピソードを選びました。ちはやふるの素晴らしい所は無駄が無いのでテンポが良いのと、基本1話完結な点ですね。北央のメンバーはこの時がほぼ初出にも関わらず、鮮烈な印象を残してくれました。北央かるた部のバックボーンとして顧問と部員の信頼関係がある事も視聴者に示していてくれたのも驚き。よくもまあこの1話で恐ろしいまでの情報量を詰め込んできたと思います、瑞沢高校の面々も今までの経験を糧にして、王者である北央に挑戦者として挑み、一進一退の激戦を繰り広げ、最後には僅差で全国への切符をもぎとるまでの過程が熱かったです。少女漫画の様に登場人物の心理描写を丁寧に描いて、感情移入しやすく。少年漫画の様に盛り上げるべきところは盛り上げる。という20分で出来る事全てを出し切ったという感じを受けました。最後の新に向けたメッセージも、『引き』としても非常に秀逸で、次週も観なくては!と視聴者に思わせる所が憎いなと感じました。

境界線上のホライゾン 第10話『スタートラインのラッパ吹き』

脚本:冨田頼子 絵コンテ:渡邊哲哉 演出:渡邊哲哉/井端義秀 作画監督:鈴木勘太

今期というか今年最も衝撃を受けた戦闘シーンはこの境界線上のホライゾンでした。元々自分は原作の大ファンで、アニメ化されると聞いた時は、不安半分嬉しさ半分だったのですが、いざアニメになると、キャラが動く動く。元々原作のボリュームが物凄いので、映像化に際し、いくつか削られた描写はありますが、それを打ち消すほどの戦闘シーン。正直言って圧巻でした。話が本格的に動き出したのと、武神VS魔女というド派手な空間戦闘を盛り込んだお祭り的なエピソードであるこの10話が、ホライゾンの中では一番だったと思います。演出が神がかっていたので、担当されている渡邊哲哉氏を調べてみました所、サンライズでは富野作品の絵コンテも多数担当されていて、実績としては申し分ない人でした。マルガとナルゼの細かい動きや、武神のギミック等は何回も見直すことに新たな発見がありましたし、観るたびにこのエピソードの完成度の高さを思い知らされたような気がします。脚本家の方はまだ実績では若手の人のようですが、原作を読んでいたく感動されたの事で、原作愛があってこそのアニメ境界線上のホライゾンだったのではないかなと思います。義務で作ってるのと・好きで作ってるのとの『違い』はやはりどの分野でもあるものですよね。

魔法少女まどか☆マギカ 第10話『もう誰にも頼らない』

脚本:虚淵玄 絵コンテ:笹木信作 演出:八瀬祐樹 作画監督:伊藤良明/潮月一也

この話でまどか☆マギカというのがどういうお話なのか?という事に当たりをつけた人が多いと思います。この話を観て、思わず今までの話を見返した人もまた多いと思います。今までその真意を推し量ることの出来なかったほむらの動機が明らかになる重要なエピソードであり、その悲劇的な背景も相まって、個人的には2011年ベストエピソードを挙げるとしたら間違いなくこれがTOPになるんじゃないかなと思う程好きな話でもあります。魔法少女のお約束をいい意味で破ってきたこの作品も、破るだけではここまで話題にはなりません。その破る背景を説明できないと、ここまでのヒット作にはならなかったのではと思います。そしてその背景がほむらの背負わされた運命であり、その運命を残された魔法少女達がどう打開していくのか。クライマックスへの繋ぎの話ながら、この話自体作品のクライマックスになってしまっている感がありますよね。このまま最終回でもいいんじゃ・・・とか視聴者に思わせてしまう辺り、虚淵玄の脚本の巧みさが伺えます。声優の演技もすげーなと改めて再認識させてくれたのも、このエピソードが好きな要因。ちなみに当時これ以外に声優ってすげーなと思ったのはカレイドスターの5話だけなので、実に何年ぶりの久々に沸き起こった感情と言えます。

お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!! 第5話『ミスターX 兄襲!』

脚本:小出克彦 コンテ/演出:小林孝志 作画監督:山崎正和/山本善哉/安本学 総作画監督:桜井正明 BL作画:佐光幸恵

これはもうね。何回見返した事かw 評価にも書いてる事なんですけど、この作品エロに対するベクトルが他の作品とはちょっと違うんですよ。はっきりいってキャラデザはそこまで萌えるものでもないです。なのになんでこうもエロイのか。それはエロに対する価値観が登場人物それぞれで全然違っているんですよね。で、自己主張する人もいれば、そうでない人もいる。普段から主張し隠してる人が表に出すと、印象度が大分違うから、妙に面白く思えてきちゃうんですよね。例えは悪いけど、男子連中でAVの話してると、皆同じ嗜好という人はまずいないんですよ。皆それぞれこだわりがある。そのこだわりを二次元に落とし込んだらどうなるか?ってのが作品のコンセプトのような気もするんですよね。5話は登場人物も揃ってきて、今まで性癖を隠してきた委員長が暴走。修輔も初めて異性というものを意識して、自分の欲望を素直に現実として向き合いはじめている(奈緒は妹だからと自制してきた)ので、この2人の妄想がもたらすカオスっぷりが面白かったです。委員長が出始めてきてから作品全体の面白さもグッと増したと思うので、個人的にはこれを選ばずにはいられませんでした。

カードファイト!! ヴァンガード 第50話『戦いの果てに…』

脚本:砂山蔵澄 絵コンテ:辻初樹 演出:又野弘道 作画監督:山崎展義/宍戸久美子

第1.2話以来となる、櫂VSアイチのバトル。PSYクオリアに囚われてしまったアイチを救う為に、櫂が全身全霊をかけてバトルを挑み、忘れかけていたヴァンガードの楽しさをアイチに思い出させる非常に重要な回でした。アイチがPSYクオリアに囚われている期間は思いの他長く、ミサキやカムイといった他のQ4メンバーもアイチの心配をしつつも、どうしようもありませんでした。そんなアイチを最後を救ったのは過去に似たような経験を持つ櫂の執念でした。ヴァンガードは展開が予想が付かない事が多く、その予測不可能な所も面白さの一つなんですが、1年を締めくくる最後の回で王道の熱い展開に打って出て、見事に視聴者を唸らせました。櫂は今まで自分の感情を相手に伝えることがなかったので、誤解されやすい事も多く、また視聴者側にもいまいち真意が掴めない人だったんですが、誰よりもヴァンガードが好きで、好きだからこそ、アイチを止める事が自分に課せられた運命のように、バトルを通じて説得を試みます。この前の回では櫂の過去話がメインとなっていて、それも合わせてこの回を見ると、櫂というキャラの良さがよく見えてきてますます面白くなってきました。全国大会に向けて、ようやく一致団結したチームQ4。今までどこかぎこちなかったメンバーが分かり合えたのを見ると、観続けてきて良かったな〜と思います。これは今まで見てきた人への褒美のような話でした。

探偵オペラミルキィホームズスペシャル 『さようなら、小衣ちゃん。ロング・グッドバイ・フォーエバーよ永遠に…』

脚本:ふでやすかずゆき 絵コンテ:森脇真琴 演出:沼田誠也 作画監督:沼田誠也

ミルキィはSPでもミルキィだったぜ!という事で第1期のテンションそのままで、小衣にスポットを当てた作品。これ面白さを説明するのはちょっと難しい。でも個人的には昔やってたギャラクシー・エンジェルに近い印象を受けている。元々ブシロードの木谷社長も、GAのファンでミルキィもそんな感じのアニメにしたいとか聞いた事ありますけどね。それにしてもこのキャラクターの破壊ぶりと投げっぱなしの展開は本当にカオスと呼ぶに相応しい出来。小衣もアイドルになったという設定で、ライブシーンとかあったりするんだけども、凄く酷い出来w でもミルキィだからしょうがないかーと思わせてしまうのがこの作品凄い所。小衣が主人公なのだが、G4はそこまで目立っていなかったなーというのが少し勿体無かった。小衣+ミルキィホームズという感じ。怪盗は久々に悪よのおと思わせてくれた。それでもやっぱり本質的には良い人達には変わりないけど。なんでこれを選んだのか。自分でもよく分からないんですけど。ミルキィってやっぱり他人には説明不可能な面白さ持ってるよねって事で。最近スタートした2期も相変わらずパワフルでファンとしてはかなり嬉しい滑り出しになりましたね。

花咲くいろは 第19話『どろどろオムライス』

脚本:浦畑達彦 コンテ:安斎剛文 演出:許錯 作画監督:大導寺美穂/丸山宏一

花咲くいろはは「後半が面白くない・必要なかった」という意見をよく耳にしますが、僕はそうは思いません。旅館のエピソードを中心とした前半に比べ、後半は緒花達の年相応の学生生活を送る様子が中心となりますが、彼女達の素の感情を知るには後半部分は必要不可欠だったと思います。みんちが後半になって、徹を巡る話で緒花に随分と辛く当たったりするのも、彼女がまだ高校生だという点を踏まえれば、非常に興味深い話だと思います。やはり人間誰しも、仕事とそうでない時に見せる態度は違いますし、お仕事をテーマにしているからといって、その点だけを書くのは芸がないんじゃないでしょうか。僕個人としては緒花達が普通に学生生活を送っているのを観て、既に仕事をしている高校生とそうでない高校生の違い。将来に進むべき道を決めている人とそうでない人の対比さが面白く感じられました。今を必死に頑張る旅館サイド。そして将来を見据える学生サイド。この二つの絶妙なバランスが作品を形作っているのはないでしょうか。そういう意味で、僕は学生における3人の立ち位置が見え隠れし、様々な問題を学生パワーで解決していく。これらが魅力となって結びついた香林祭のエピソードが凄く好きです。修学旅行編も中々だったのですが、キャラがより一層魅力的だった。他の学生と緒花達の問題意識が目に見えて違っているのが良かったという点でこの話を選びました。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。第1話 『超平和バスターズ

脚本:岡田麿里 絵コンテ/演出:長井龍雪 作画監督:田中将賀

時間が経つに連れて人間関係もまた変わってきます。当たり前の事ですが。しかしその現実をいざ突きつけられると、戸惑ってしまうのもまた人間。妙な人間関係のリアルさに第1話からいきなり引き込まれたのを今でもよく覚えています。何の説明もなしにいきなり幽霊として目の前に現れるめんま。そのめんまの行動に昔と変わっていない所を見つけて安心するじんたん。しかしじんたんは現在不登校であり、変わらない自分を変えていかなくてはいけない。しかしどうすればいいのかわからない。自分の現在置かれた状況に苛立ちを覚えながらも、めんまという存在を経て、じんたんが少しずつ昔の自分を取り戻していくのが、この作品の筋ですが、第1話にして、やれるべき伏線は全て張っちまったぜ!状態で、以降はまあ面白い回は沢山あったのですが、どうも初回の衝撃には及びませんでしたね。現実に少しずつ介入してくる非現実。これは以降の回でも取り上げられた要素ですが、この1話のめんまが自分の家に立ち寄るところで自分の現在置かれた状況を再認識。じんたんとめんまはスタート地点から動けていないというのを知ったときに、あのED。全てにおいて完成された話でした。この1話だけなら最終回よりも見返したと思います。

俺たちに翼はない 第10話『ずっと、ファンでいてくださいね』

脚本:あおしまたかし 絵コンテ:中山岳洋 演出:玉田博 作画監督:橋口隼人/片岡英之/出野善則/青木あさ子/楡木哲郎/牛尾優依

俺つばは原作が好きで、その流れでアニメも観ていたのですが、初回こそ微妙でしたが、そこから段々持ち直していった・・というよりかは原作の味が出てきて、視聴者側にもこれはこういうアニメなんだなという見方が浸透してきたという表現が正しいでしょうか。そんなアニメ俺つばの真骨頂は第7話とこの第10話ですが、第10話はハチャメチャぶりとたまひよの話の締め方が割と綺麗だったのでこうして選ばせて貰いました。多重人格ネタは珍しくないですが、その多重人格を上手く料理している作品がどれだけ多いかというと話は別。主人公の境遇は中々重い設定ですが、その割には変にシリアスにならず、綺麗な終わり方をしてくれたというのがアニメ版でもそうで、良かったな〜と思いました。人格ネタはアニメでは早々に見破られるように設定していたのも個人的には〇。そこまで隠すような設定でもないですし。むしろその多重人格を軸にして語られるエピソードの面白さがこの作品の魅力だったりします。第7話ではカルラ大暴れでしたが、第10話では統合人格を含め、色んな人格の織り成すストーリーが非常に良い出来だったのが、一番良いと思えた要因ではないかと感じています。

電波女と青春男 第8話『ツィオルコフスキーの祈り』

脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ:橋本アキラ 演出:下田久人 作画監督:柳瀬雄之/清水勝祐/佐藤篤志/鈴木信一

電波女と青春男ってもしかして俺に合わないんじゃないか?と観始めて若干後悔し始めた頃に、このエピソード。女々さんって本当に何考えてるのか良く分からない人で、そういうキャラなんだろうな〜と思ってたときに解決編と言わんばかりの真相解明に次ぐ真相解明。お婆さんとかそこまで深く絡んでくるのかよ!とかあんまり考えて無かったし、エリオに関しても親にしては割と放任主義なんだな。まあ愛は感じるけどという評価だっただけにこの40歳の可愛いママさんの人知れぬ気遣いには本当に度肝を抜かれたというか。子供っぽいんだけど、大人として果たすべき所は果たしている人。女々さんの子供時代の回想もありましたが、子供の頃は出来なかったけど、大人になって出来ることもあるというのを痛感していて、自分のやりたかった・お婆ちゃんの為にしてあげたかった事への責任感というのを生来の茶目っ気で実現を果たすまでカバーしていたとも取れて、一気に好きになりました。個人的には家族愛に弱い人間なんで、まさかこの作品でそういうのを観れるのは想定してなかったんで、思わぬ発見というか。これだけでも見る価値がある作品とか思いますね〜。


正直10しか選べないのは拷問で、ラインナップを考えるだけでも半日かかりました。冗談ではなく。
それほど面白い作品が昨年は揃っていたという嬉しい悲鳴でもあったわけですが。
惜しくも選外に漏れたのは、また機会があれば晒してみたいと思います。
2012年もこのような10選を選べる名エピソードがあるといいなと思いました〇