アニメにおけるタイトルロゴ

中国嫁日記という作品をご存知だろうか?

オタクで40歳の主人公が20代の中国人女性とお見合いをして意気投合して結婚し、日本人と中国人の価値観の違いをネタにしながら仲睦まじい夫婦の風景を描いた4コマ漫画である。

中国嫁日記は元々webで連載されていたのだが、あまりの好評に単行本として発売される事になった。

この時単行本のカバーデザインを担当したのが、あずまきよひこを見出し、「あずまんが大王」「よつばと!」等のヒット作の影の功労者でもあるかの里見英樹なのである。

里見は中国嫁日記の作者である井上純一と打ち合わせを行った際に、中国嫁日記のロゴデザイン案をいくつか提示した。 井上はそのどれもが非常に格好良いデザインですっかり惚れこみ「さすが里見サンだ」とその仕事ぶりに驚嘆したという。 里見はデザインをどれにするか詳しくは言及しなかったものの、井上としてはどのデザインでもオーケーと既に思っていたらしい。

そして打ち合わせの最終段階で里見は井上にこれでほぼ決定と通達した上で中国嫁日記の最終案を見せる。 その時井上は雷が打たれた程の衝撃を受けた。

何と里見はこれまで井上に見せていた格好良いデザインをかなぐり捨て、一転して非常に落ち着いたデザインを見せたのである。 井上は当然「え?今までボクに見せてくれていた格好良いデザイン達は?」と里見に質問するも 里見は「今までのは所詮案ですから。この落ち着いたデザインの方が売れますよ」と意に介さなかったという。

井上の危惧をよそに中国嫁日記は単行本としてはヒットとなる売り上げを達成し、里見の慧眼に改めて恐れ入ったと述懐している。

編集者の間では神様と呼ばれている里見氏が重視する辺り、タイトルロゴというのは売れ行きには非常に貢献するのだろう。 と同時に作品を表現する一番分かり易い・表に出てくる要素なのである

例えば文字を縦にするのか。横にするのか、これだけでも与えるイメージは全然違う。

このようにタイトルロゴはその作品のイメージを形作る最重要なピースの1つだ。デザイン次第でその作品は格好良く見えるのか、可愛く見えるのか、少し刹那的に見えるのか、ギャグテイストに見えるのか、癒し系に見えるのかをパッと判断はしやすい。

有名所で言えばゲームの「ドラゴンクエスト」は非常に力強く明るく見えるし、「ファイナルファンタジー」はやや刹那的に見える。 これはゲームの作風にも大きく関わっており、ドラクエが開放感があるのに比べ、FFはやや暗く閉塞的な印象だ。

さて、タイトルにある通り、これをアニメに当てはめてみるとどうなのだろう。
一応所持DVDを中心に適当に抜粋してみたが、改めて着目してみると面白い。

■中ニ病でも恋がしたい!

これはすんごく分かり易いが、中のロゴにヒロイン六花の代名詞である眼帯を、病のロゴに包帯をイメージする事で中ニ病のイメージを一瞬で表現しているのが面白い。大体は文字と別種にイメージをデザインして表示させるのが一般的だと思うが、あえて文字に刷り込んだというのはポイントかもしれない。

輪るピングドラム

一見何の変哲も無いタイトルだが、よく見ると右下に95、電車のイラスト、ペンギンが描かれている。作品の中核を成すと言われているテーマをタイトルロゴで表現しているのが心憎い。大分早い段階でピンドラは地下鉄サリン事件が関係あるんじゃない?という憶測はこのタイトルに着目していた人がそうであるのは間違いないだろうと思う。

東のエデン

事件の契機となった「迂闊な月曜日」に代表されるミサイルが東という文字に突き刺さっている。 ミサイルに始まりミサイルに終わったテレビシリーズの象徴とも言えるかもしれない。

ささみさん@がんばらない

見るからにがんばらない感がガンガン伝わってくるので個人的に大好きなタイトルロゴ。 ひらがなは古来から女性が司るべき文字で美しいという印象が強いが、その他にも癒しという意味でも非常に有用な文字だと感じる。

とある科学の超電磁砲

折角なので1期前半、1期後半・・・と上から並べて見ました。赤が空に映えるのが空の状態はちょいちょい変えているものの、空バックは一貫しているのが特徴。禁書は水色チックなのでどうも映えない。ちなみに赤ロゴ空バックは鉄腕バーディとかもそうだったように結構スタンダードかもしれないと感じる。シンプルだけど色使いが素晴らしいなと思ったので選出

爆走兄弟レッツ&ゴー

古いアニメだけどこのタイトルロゴにも重要な秘密が。レッツの所で赤、ゴーで緑という配色。 スタート前の準備時のカラーとスタート瞬間のカラーを言葉とかけているのだ。

色々挙げたが、今期では凪のあすからのタイトルロゴがちょっと好き。 まあ話は某所で酷評した通りいまいちだが、雰囲気だけは本当に一流である。


ロゴがどうこうではなく、OP表示時にキャラと挟み込むようにして出てくる演出がお気に入り。