蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH


蒼穹のファフナー劇場版を観て来ました。あんまり話題になってないようですが、近年でもトップクラスの出来を誇る素晴らしい作品でした。 ファフナーを知ってる人にとっては是非とも劇場に足を運んで頂きたいと思います。テレビシリーズから2年後の世界を舞台にした、正当な続編で完全新作となっていて、テレビでも使われていたCG演出は時を経て、更に磨きがかかっています。戦闘シーンで心奪われたのは、EVA破以来じゃないでしょうか。ファフナーの空中戦なんてスピード感あるし鳥肌ものです。はっきりいって戦闘シーンだけでも見る価値があると思います。ストーリーは本当に『好き』じゃないと受け入れられないでしょうね。テレビシリーズでファフナーが苦手だったという人には、劇場版も辛いと思います。同様にファフナーを全く知らない人にもチンプンカンプンです。そういう意味ではファンサービス的な作品だといえるでしょうね。そういう作りをしている事からも、話題性が今ひとつなのはしょうがないのかも。

今回は一騎達がファフナーの先輩として、新パイロットとなった後輩達に色々と指導する場面が見られます。登場人物は2年の時を経て、スキル・精神共に大きく成長しており、テレビでは見せなかった大人びた一面を見せています。特に感情表現が乏しかったカノンはすっかり島に馴染んで、生徒会副会長として後輩達を引っ張っていますし、何処か頼りなかった剣次に至っては、周囲の人へのフォローを忘れない好青年に成長しています。元々回りの人間に対して気を遣う人物ではあったんですが、自分が危機に陥ると、途端に脆くなってしまうのが弱点でした。しかし今作ではそのような面を全く見せません。咲良に対しても男気を見せますし、後輩の危機にもきちんと対応して、今やなくてはならない存在となっています。戦闘も地味ながら着実な戦果を挙げており、MVPを選ぶとすれば、彼しかいない!と言わしめるほどの活躍でした。

テレビ版で生き残っていた人たちは全員続投。それに加え、ファフナー後輩組が以前より前に出てきたことで、映画ではそれぞれの存在感が希薄になる恐れがありましたが、90分という時間の中で、各キャラの見せ場をきちんと用意してきたのには驚きました。話の展開も無駄な部分が一切無く、構成がずば抜けて高いので、時間を忘れて楽しめました。テレビ版の演出のオマージュといえるシーンも散見していて、最初から最後まで目を離すことが出来ません。angelaによる新曲も作品の雰囲気に見事に合ったものばかりで、スタッフの作品にかける想いを感じ取れました。

テレビ版で残された伏線も綺麗に回収して、ファフナー完結!かと思いきや、終盤でまたいくつかの伏線が・・・w まあ投げっぱなしってことはないだろうし、意図して伏線を残した演出とも考えられるので、劇場版かまたOVAか分かりませんが、ファフナーの物語がこの作品では終わらないのは確かのようです。迫力の戦闘シーンと涙なしに見られないストーリー。人を選ぶ作品ですが、ファフナーの魅力にとりつかれた人なら絶対に期待を裏切らない作品なので、映画館に足を運んで欲しいと思います。

蒼穹蒼穹
angela

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