LOVE♥LOVE? のDVDを買いました。

安かったので全巻買ってしまいました。
少しマイナー作品だと思うので、知らない人の為にも若干解説を交え、感想をうpしていきたいと思います。

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大島美和

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m.o.e.というアニメ制作会社が手がけた『変身三部作』シリーズがあるのですが、この三部作、それぞれが独立していながらも、相互に深い関連を持つという面白い設定が存在していました。

第一作目は『超変身コス∞プレイヤー』という美少女変身物のアニメというありきたりなものですが、第二作目は『ヒットをねらえ!』という、新米プロデューサーが『超変身コス∞プレイヤー』の企画を任され、ドタバタな日々を送るという話で、『超変身コス∞プレイヤー』を軸として、様々な視点から、作品を作り出していく手法で、当時アニメ偏差値があんまり高くなかった私にとってはかなり衝撃を受けた作品でした。

今回購入したのは『Love Love?』という変身三部作の最終作に当たる作品であり、主人公は『超変身コス∞プレイヤー』の原作者の大泉直人。
現役高校生という設定で、自身が手がけた『超変身コス∞プレイヤー』の現場を訪れるたびに、作品に出演している女の子達から猛烈なアタックをしかけられタジタジになるという、ラブコメです。

ブコメというと、主人公が可愛い女の子達からモテまくるというお約束がありますが、どうしてこの主人公がモテるのか?という明確な理由はあんまり視聴者にとっては大抵納得できるものではありません。架空の作品ですので、疑問を持つこと自体ナンセンスなのですが、しかしこの『Love Love?』は主人公が女の子にモテるというのは、ある理由が存在していて、その理由も視聴者にとっては納得できないものではなく、むしろ『ありえる事』として認識させてしまいます。ここが普通のラブコメとは一味違う点です。

その理由としては主人公は原作者という立場にあることが原因です。直人に迫ってくる女の子は皆芸能人です。劇中で自分が演じる役の出番を増やして欲しい為に、直人に過剰な媚を売っているのが、主人公がモテるという図式を作り出しています。生々しいですね〜。実際その生々しさが作品のテーマでもあるようで、序盤こそはラブコメの様相を呈していますが、終盤からは『超変身コス∞プレイヤー』のドロドロした裏側に焦点を当て、それに巻き込まれていく直人という展開になっており、中々シリアスな話に仕上がっています。

また直人自身が『超変身コス∞プレイヤー』を生み出した理由についても深く踏み込んでおり、最終章に相応しく、変身三部作の中でも構成の緻密さが際立っています。『ヒットをねらえ!』も構成が悪くなかったのですが、ありきたりな展開の連続で淡白な印象は拭えませんでしたし、『超変身コス∞プレイヤー』については初見では完全に失敗作と言えるほど話が面白くありません。その前二作が完全に引き立て役と思えるほど、この作品死角がなく(最初から狙っていたのかもしれませんが)、個人的にはかなり高い評価をしています。

私達が日頃楽しんでいる作品も、色々大人の事情があったり、舞台裏でドロドロしたのがあったりするんだろうなあと、この作品を見ていると感じてしまいます。

単体で見ても十分に楽しめるのですが、やはり『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』という二作品を観てからの方がより楽しめるようになっていますし、これを見た後で、もう一度二作品を見ても楽しめます。この作品を見た後に『超変身コス∞プレイヤー』を見ると良作に見えてくるから不思議です。それだけに『超変身コス∞プレイヤー』の時点で切ったという意見もちらほら聞き、変身三部作の真の面白さを知っていない人が多いのは至極残念な事です。それでも視聴者にとっては作品の取捨選択は当然の行動であり、制作サイドに非があるのは言うまでもありませんが。

この作品、EDが凄く良いのも、魅力のひとつです。OPはいかにも萌え作品を意識した作りですが、EDは一転してシリアスな作りになっています。ヒロイン達の舞台裏での一コマを展開させていく演出も特徴的で見た目とは裏腹にかなり凝った作品であるといえるでしょう。